「三木、話聞いてくれる?」
「もちろん」
ふたりで並んで購買へ向かいながら、私はゆっくりと朝の出来事を口にし始めた。
「今日の朝、東が…」
「うん?」
その名前を出した瞬間、胸の奥がぎゅっと掴まれるように痛くなる。
そして、空き教室の前を通り過ぎた瞬間のことだった。
横から突然腕を掴まれて、え、と思った次の瞬間には、まるで映画みたいに一気に場面が切り替わったみたいに、明るかった廊下が消えて、電気もついていない薄暗い教室に引きずり込まれていた。
「み、」
三木、と呼ぼうとした声は途中で遮られて、後ろから誰かの手が私の口を覆って息が止まる。心臓が変な音を立てる。何が起きてるのか理解できないのに、体だけが本能的に固まっていく。
「しーっ」
耳元で聞こえた声に、背中がびくりと跳ねる。
誰?なんで?どうして私?
頭の中がぐちゃぐちゃになるのに、口を押さえられて声も出せない。
「西宮、静かにできる?」



