「な、んで……」
「なんでって、西宮が逃げるから」
「……追いかけっこしてるわけじゃないんだけど」
「はは、そうだね」
頭の中がまたぐちゃぐちゃになる。
なにこの人。本当に意味が分からない。なんで追いかけてきたの。なんでわざわざ探したの。なんで会いに来たの。そんな疑問が一瞬で頭の中を埋め尽くす。
そして、その疑問と一緒に最悪な感情も顔を出した。
――もしかして。
いや、駄目!駄目駄目駄目!考えない、期待しない、勘違いしない!
もう嫌…!また勝手に期待して傷付くのは…!もうあの日みたいな気持ちになりたくない…!
「西宮」
東が私の名前を呼ぶ。その声だけで胸が苦しくなる。
「今日の放課後、三木じゃなくて俺に時間ちょうだいよ」
「……っ」
「どっか行こうってわけじゃないよ。前みたいに一緒に帰ろう」
理解できなかった。意味が分からなかった。
なんでそんなこと言うの。なんでそんなこと平然と言えるの。
前みたいに?前みたいに一緒に帰ろう?東は今、本当にそう言った?



