気付けば立ち上がっていた。椅子がガタンと大きな音を立てる。
東が目を丸くする。知らない。そんな顔されたって知らない。
私はもう限界だった。そのまま勢いよく教室を飛び出す。
「~~~~っ!!」
走る。とにかく走る。行き先なんて考えていない。ただ東から離れたかった。
心臓がうるさい。苦しい。恥ずかしい。悔しい。感情がぐちゃぐちゃだ。
廊下を走りながら、自分でも何をやっているんだろうと思う。
でも止まれない。止まったら東の顔を思い出してしまう。
さっきの距離。さっきの声。さっきの表情。全部脳内で再生される。
やめて。やめてほしい。忘れたいのに。
どれだけ走ったのか分からない。気付けば速度が落ちていた。
「……はぁ……はぁ……」
どういうことなの。どういうつもりなの。振った相手にあんな風に話しかける?しかも放課後連れてってよって何?
胸の奥がずきずき痛む。
振られたはずなのに。ちゃんと終わったはずなのに。東の顔を見ただけで嬉しくなってしまった。
声を聞いただけで安心してしまった。近付かれただけで心臓が跳ねた。そんな自分が憎い。
なんでまだ好きなの。なんでまだ期待しそうになるの。そんなわけないって分かってるのに。
東は私を選ばなかった。それが答えなのに。
私の心臓は全然納得してくれない。東を見るたびに好きだって叫んでくる。ほんとに馬鹿みたい。



