「西宮?」
不意に名前を呼ばれて顔を上げた瞬間、東の顔がぐいっと近付いてきた。
「っ!?」
近い近い近い近い!
反射的に身体をのけぞらせる。椅子ごとひっくり返るかと思った。
「なっ……なんで、ここにいるの!?」
「なんでって?いつも会いに来てたでしょ」
「……ぐっ……」
いや、そうだけど!そうなんだけど!それは告白する前の話でしょ!?前と今じゃ全然状況が違うでしょ!?私の中では大事件だったんだよ!?振られたんだよ!?
なのに東はまるで何も変わっていないみたいな顔をしている。
「ねえ、西宮。放課後、俺も連れてってよ」
東は机の上で腕を組み、その上に顎を乗せた。上目遣い。しかも本人は無自覚。最悪だ。
なんなのその顔。かわいいとか思うな私。だめだよ。振られた相手に何ときめいてるの。
「……むっ……無理!」



