耳元。右耳のすぐそば。
突然聞こえた声に心臓が跳ね上がる。反射的に右耳を押さえながら勢いよく振り返った。
「……っ!? ……!?」
東だった。3日ぶり。3日ぶりに視界へ飛び込んできた東の姿に、呼吸が止まる。
え。なんで。なんでいるの。いや学校なんだからいるに決まってるんだけど、そうじゃなくて。なんで今。なんでこんなタイミングで。
せっかく考えないようにしていたのに。頭の隅へ追いやっていたのに。一瞬で全部吹き飛んだ。
「ねえ、三木。いいよね?」
東は当たり前みたいに私の後ろの席へ腰を下ろした。まるで何事もなかったみたいに。まるでこの3日間が存在しなかったみたいに。
はあ?なんで?と顔に書いてある三木のことなんて気にも留めず、東はただじっとこちらを見ている。
なんで。なんで見てくるの。やめて。そんな見ないで。心臓が壊れる。
私は東に告白した。振られた。東はその事実を知っている。私はその事実を知っている。
なのに東だけがいつも通りで。私は全然いつも通りじゃない。耳元に残る声の感触が消えない。
右耳の奥がじんじんする。さっき確かに聞こえた東の声が何度も頭の中で再生される。
混乱で頭がおかしくなりそうだった。なんで普通に話しかけるの。なんでそんな顔できるの。
意味がわからない。頭の中がはてなマークだらけになる。



