中学のときにも一度、凛音に告白されていて、そのときも断った。あのときはまだ単純だった。好きかどうかじゃなくて、そういうものに応えられない自分がいるだけだった。
でも今は違った。同じ「断る」でも意味が違いすぎた。
二度目の拒絶。二度目の涙。その涙を見た瞬間、胸の奥がざわついた。
凛音の泣き顔が、どこか自分に重なった気がした。
だからこそ、意味が分からなかった。
西宮は天馬が好きなはずで、それを知っていたから天馬みたいになりたいと思ってた時期もあったわけで。
それなのに。
「……1年のときからずっと……東だけが好きだった……!」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
理解が追いつかない。目の前の西宮の顔は、泣くのを必死にこらえていて、それでもまっすぐ俺を見ていた。
頭をトンカチで殴られたような感覚、という比喩があるなら、たぶん今がそれだった。
1年のときから?ずっと?俺だけ?
何も言えない俺を見て、西宮は一瞬だけ唇を噛んだ。それから、泣きそうな顔のまま、無理やり笑ってみせた。
「東のバーカ!」
そのまま振り返りもせずに、西宮は行ってしまった。



