君に捧げるアイラブユー




俺の心臓だけが本気で死にそうになっているのに、この人は何も分かっていない顔をしている。いや、分かっていないんだと思う。本当に。


だから余計に腹が立った。俺のこと、なんだと思ってるんだろう。

この距離で。こんな体勢で。無防備に笑って。どこまでが冗談で、どこからが境界線なのか、この人は分かっていない。


気づいたら、俺は西宮の後頭部に手を回していた。そのままぐっと、自分の方へ引き寄せる。

距離がさらに詰まる。西宮の目が少しだけ見開かれる。

ほんとに何も分かってない。西宮はたぶん、こういうことに意味なんて考えていない。


ここで俺が一線を越えたら、この関係はどうなる。

もし今、衝動に任せてしまったら。

もし西宮がそれを受け入れたとしても。その先には何も残らない気がした。


少なくとも、俺が欲しいものにはならない。

だから息を吐いて、手を離した。立ち上がる。距離を取る。自分に言い聞かせるみたいに、わざと軽い声を出した。



『俺だったからよかったけど、ほかの人にやったらどうなるか考えな』



言った瞬間、心の中で自分に突っ込みたくなった。

俺だったからよかった?どの口が言ってるんだ。結局一番危ないのは俺だろうに。