結局俺は西宮を探してしまう。
廊下を歩けば無意識に姿を探す。
昼休みになればどこにいるのか気になる。
体育館へ移動するときも。
移動教室へ向かうときも。
気づけば目が西宮を探している。
教科書を忘れたふりをして西宮のクラスへ行ったこともあった。本当に忘れたわけじゃない。ちゃんと鞄の中に入っていた。
だけど会いたかった。顔が見たかった。ただそれだけだった。
『ごめん、教科書貸して』
そう言う俺に、西宮は疑うこともなく『いいよー』と笑う。
その笑顔を見られただけで一日頑張れる自分が少し情けなかった。
でも幸せだった。好きな人を見るだけで嬉しいなんて、きっと今しか味わえない感情だと思ったから。



