もちろん西宮には申し訳ない。誰を好きになるかなんて自由だし、天馬が西宮を好きだったとしても責める資格なんてない。
だけど安心してしまった。ほっとしてしまった。どうしようもなく。だって天馬が本気で西宮を好きになったら、俺に勝ち目なんてないと思っていたから。
勉強も運動もできる。顔もいい。人気もある。本人は興味なさそうだけど、女子からの支持も高い。そんな天馬が本気になったら、俺なんて一瞬で負ける。
だから安心してしまったんだ。最低だと思いながらも。
『どうやったら、天馬みたいになれる?』
気づけばそんなことを聞いていた。天馬は怪訝そうな顔をする。
『なんで俺になる必要があんの?』
『……いや』
続く言葉は飲み込んだ。言えるわけがない。
天馬みたいになれたら。西宮は俺を見てくれるかもしれない。そんなことを考えていたなんて。
あの頃は本気で思っていた。西宮が好きなのは天馬みたいな人だ。なら俺も天馬みたいになればいいんじゃないかって。
でもそんなの続くわけがなかった。



