『西宮、手伝うよ』
声をかけると、西宮は驚いたように顔を上げた。大きな瞳がぱっと見開かれる。
『……う、ありがとう……助かる~っ!ごめんね、東。私の仕事なのに』
『別にいいよ』
そう言いながら隣の席に腰を下ろした。資料を受け取ってホッチキスを打つ。単純作業だった。会話だって特別盛り上がるわけじゃなかった。でも不思議と居心地がよかった。
『誰かに声かけなかったの?』
俺ならたぶん頼っていたと思う。こんな量を一人で片付けようとは思わない。すると西宮は少し考えるように首を傾げた。
『ん~、みんな部活だったり、彼氏とデートだったりね』
『だから頼まなかった?』
『うん。忙しそうだったし』
へへ、と西宮は照れたように笑った。
ああ、この人は本当にお人好しなんだな。自分が大変でも人を優先する。迷惑をかけないように我慢する。
そんな性格が透けて見えた。



