「帝でさえ姫宮のご将来を心配して婿探しをなさる時代なのだ。私のような貴族が、娘にぼんやりと年を取らせているわけにはいかない」
夕霧大臣様は皮肉めいたことをおっしゃって、明石の中宮様に何度もお願いなさる。
中宮様にとって大臣様の腹違いの兄君だから、なんとかしてさしあげたいとお思いになるの。
匂宮様をお呼びになっておっしゃる。
「夕霧大臣様がお気の毒ですよ。六の君をあなたと結婚させたいと、長年丁重に申し入れてこられたのです。いつまでも逃げまわっていらっしゃるのは思いやりが足りません。それに、同じ親王として生まれても、正妻の実家に勢いがあるかどうかで将来に差が出ますからね。帝はそろそろ引退なさるおつもりのようです。東宮が次の帝におなりになるのは決まっていますが、では次の東宮はどなたになるのか。ご自分の将来を思えば、こんなところで損をなさっていてはいけません。
宇治の姫君に遠慮していらっしゃるのでしょう。こっそりと恋人になさったそうですね。とりあえず六の君を妻にして、その後で妻が増えても、夕霧大臣様のようにうまくおやりになったらよいではないですか。大臣様はふたりの奥様を平等にお扱いになって、どちらからも恨みを買わずに暮らしておいでですよ。ましてあなたの場合、もし東宮におなりになれば、お妃など何人いらしてもよいのです」
と、いつもよりも熱心に言い聞かせなさった。
匂宮様としても、六の君とのご結婚が不釣り合いだとはお思いにならない。
ただ、夕霧大臣様の婿になるというのが窮屈なのよね。
堅苦しい大臣様のお屋敷で、きちんとした婿君であることを求められる。
<二条の院での気楽な暮らしが終わってしまう。しかし中宮様がおっしゃるとおり、夕霧大臣に完全に憎まれるのは得ではない>
だんだん気弱になっていかれる。
この冬、宇治の大君がお亡くなりになった。
悲しみに沈む薫の君の噂をお聞きになって、中宮様は中君のことも立派な姫君なのだろうとお認めになる。
ついに、
「それほどの姫君なら、こっそりと二条の院へ迎えておあげなさい」
とお許しになったの。
こうなると大臣様と匂宮様の競争になる。
大臣様は年明けのご結婚を希望していらっしゃる。
宮様は年が明けて二月のはじめ、いそいで中君を二条の院へお迎えになった。
夕霧大臣様は皮肉めいたことをおっしゃって、明石の中宮様に何度もお願いなさる。
中宮様にとって大臣様の腹違いの兄君だから、なんとかしてさしあげたいとお思いになるの。
匂宮様をお呼びになっておっしゃる。
「夕霧大臣様がお気の毒ですよ。六の君をあなたと結婚させたいと、長年丁重に申し入れてこられたのです。いつまでも逃げまわっていらっしゃるのは思いやりが足りません。それに、同じ親王として生まれても、正妻の実家に勢いがあるかどうかで将来に差が出ますからね。帝はそろそろ引退なさるおつもりのようです。東宮が次の帝におなりになるのは決まっていますが、では次の東宮はどなたになるのか。ご自分の将来を思えば、こんなところで損をなさっていてはいけません。
宇治の姫君に遠慮していらっしゃるのでしょう。こっそりと恋人になさったそうですね。とりあえず六の君を妻にして、その後で妻が増えても、夕霧大臣様のようにうまくおやりになったらよいではないですか。大臣様はふたりの奥様を平等にお扱いになって、どちらからも恨みを買わずに暮らしておいでですよ。ましてあなたの場合、もし東宮におなりになれば、お妃など何人いらしてもよいのです」
と、いつもよりも熱心に言い聞かせなさった。
匂宮様としても、六の君とのご結婚が不釣り合いだとはお思いにならない。
ただ、夕霧大臣様の婿になるというのが窮屈なのよね。
堅苦しい大臣様のお屋敷で、きちんとした婿君であることを求められる。
<二条の院での気楽な暮らしが終わってしまう。しかし中宮様がおっしゃるとおり、夕霧大臣に完全に憎まれるのは得ではない>
だんだん気弱になっていかれる。
この冬、宇治の大君がお亡くなりになった。
悲しみに沈む薫の君の噂をお聞きになって、中宮様は中君のことも立派な姫君なのだろうとお認めになる。
ついに、
「それほどの姫君なら、こっそりと二条の院へ迎えておあげなさい」
とお許しになったの。
こうなると大臣様と匂宮様の競争になる。
大臣様は年明けのご結婚を希望していらっしゃる。
宮様は年が明けて二月のはじめ、いそいで中君を二条の院へお迎えになった。



