ぜひ若君を拝見したいと薫の君はおっしゃる。
中君としては恥ずかしいような気もなさるけれど、お断りはしにくい。
<『自分を身内のように思ってくれないのか』と恨まれたくない。私への恋心だけははっきりと拒むつもりだけれど、それ以外のことはすべてお望みどおりにしよう>
何もお返事はなさらないまま、乳母に抱かせて若君を簾のむこうへお出しになった。
匂宮様と中君のお子なので、当然お美しい。
ぞくりとするほど色白で、楽しそうにお声をあげては笑っていらっしゃる。
<これが私の子だったら>
薫の君はうらやましくなってしまわれる。
「早く出家したいから気がかりになる家族などいらない」というお考えだったのにね。
<大君とふつうの夫婦になって、せめてこのような忘れ形見を遺してほしかった>
と悲しくなるばかり。
女二の宮様にお子ができたら、とはまったくお考えにならない。
困ったお心だこと。
あら嫌だ。
薫の君のことを未練がましいだけの人のようにお話ししているけれど、そういう面ばかりではないと思うのよ。
そんな頼りがいのなさそうな人を、帝が特別に大切になさって、内親王様の婿にとまでお考えになるはずはないもの。
きっと表向きは、きちんとしたご立派な貴公子でいらっしゃるのでしょうね。
若君を見せてくださったことがうれしくて、いつもよりお話がはずんでいるうちに日が暮れた。
これ以上長居してはよくないと薫の君は分かっていらっしゃるから、嘆きながらご退出なさる。
若い女房たちはのんきに、
「すばらしい残り香ですね。まるでここに梅の花が咲いているみたい。勘違いした鶯が飛んできてしまうのではないかしら」
なんて冗談を言っている。
中君としては恥ずかしいような気もなさるけれど、お断りはしにくい。
<『自分を身内のように思ってくれないのか』と恨まれたくない。私への恋心だけははっきりと拒むつもりだけれど、それ以外のことはすべてお望みどおりにしよう>
何もお返事はなさらないまま、乳母に抱かせて若君を簾のむこうへお出しになった。
匂宮様と中君のお子なので、当然お美しい。
ぞくりとするほど色白で、楽しそうにお声をあげては笑っていらっしゃる。
<これが私の子だったら>
薫の君はうらやましくなってしまわれる。
「早く出家したいから気がかりになる家族などいらない」というお考えだったのにね。
<大君とふつうの夫婦になって、せめてこのような忘れ形見を遺してほしかった>
と悲しくなるばかり。
女二の宮様にお子ができたら、とはまったくお考えにならない。
困ったお心だこと。
あら嫌だ。
薫の君のことを未練がましいだけの人のようにお話ししているけれど、そういう面ばかりではないと思うのよ。
そんな頼りがいのなさそうな人を、帝が特別に大切になさって、内親王様の婿にとまでお考えになるはずはないもの。
きっと表向きは、きちんとしたご立派な貴公子でいらっしゃるのでしょうね。
若君を見せてくださったことがうれしくて、いつもよりお話がはずんでいるうちに日が暮れた。
これ以上長居してはよくないと薫の君は分かっていらっしゃるから、嘆きながらご退出なさる。
若い女房たちはのんきに、
「すばらしい残り香ですね。まるでここに梅の花が咲いているみたい。勘違いした鶯が飛んできてしまうのではないかしら」
なんて冗談を言っている。



