こうしてお祝いの行事ががひと段落したところで、薫の君は二条の院へ参上なさった。
もちろん匂宮様がお留守の日を見計らってのことよ。
権大納言に昇進なさって、女二の宮様とご結婚もなさったからかしら、これまで以上に重々しく気高い雰囲気でいらっしゃる。
<気ままな独身生活はおしまいになさったのだから、私に言い寄るような面倒なことはもうなさるまい>
中君は安心して物越しにお話しなさる。
ところが薫の君のお心は昔のまま。
涙ぐんで、
「望んでもいない結婚をいたしました。この先の人生がますます暗くなったようでございます」
と、罰当たりなことをおっしゃる。
お相手は恐れ多くも帝の姫君だというのにね。
「まぁ、とんでもない。噂好きの女房が耳にしたら大変なことになります」
そうおっしゃる一方で、中君は感動もなさる。
<内親王様をいただくという名誉でも、薫の君のお心は慰められないのだ。いまだに姉君へのご愛情は深く、忘れられないと思っていてくださる>
姉君が生きていらしたらと悔しくお思いになって、はっとお気づきになった。
<姉君が薫の君とご結婚なさっていたとしても、女二の宮様とのご結婚は行われただろう。帝が姉君に遠慮してご降嫁をためらわれるはずなどないもの。そうなれば、私たちは姉妹そろって同じ苦しみを味わっただろう。頼りになる父親や親戚のいない娘が、人並みに幸せになることはできないのだ>
亡き大君は、けっして薫の君と結婚しようとなさらなかった。
やはりあれが慎重な選択だったのだと中君は納得なさる。
もちろん匂宮様がお留守の日を見計らってのことよ。
権大納言に昇進なさって、女二の宮様とご結婚もなさったからかしら、これまで以上に重々しく気高い雰囲気でいらっしゃる。
<気ままな独身生活はおしまいになさったのだから、私に言い寄るような面倒なことはもうなさるまい>
中君は安心して物越しにお話しなさる。
ところが薫の君のお心は昔のまま。
涙ぐんで、
「望んでもいない結婚をいたしました。この先の人生がますます暗くなったようでございます」
と、罰当たりなことをおっしゃる。
お相手は恐れ多くも帝の姫君だというのにね。
「まぁ、とんでもない。噂好きの女房が耳にしたら大変なことになります」
そうおっしゃる一方で、中君は感動もなさる。
<内親王様をいただくという名誉でも、薫の君のお心は慰められないのだ。いまだに姉君へのご愛情は深く、忘れられないと思っていてくださる>
姉君が生きていらしたらと悔しくお思いになって、はっとお気づきになった。
<姉君が薫の君とご結婚なさっていたとしても、女二の宮様とのご結婚は行われただろう。帝が姉君に遠慮してご降嫁をためらわれるはずなどないもの。そうなれば、私たちは姉妹そろって同じ苦しみを味わっただろう。頼りになる父親や親戚のいない娘が、人並みに幸せになることはできないのだ>
亡き大君は、けっして薫の君と結婚しようとなさらなかった。
やはりあれが慎重な選択だったのだと中君は納得なさる。



