野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

二月に入ると臨時(りんじ)人事(じんじ)異動(いどう)があり、(かおる)(きみ)(ごん)大納言(だいなごん)昇進(しょうしん)なさった。
あちこちにお礼回りをして、二条(にじょう)(いん)にも行かれる。
匂宮(におうのみや)様はご出産間近(まぢか)中君(なかのきみ)に付ききりになっておられる。
驚いて身なりを整えると、薫の君にお会いになった。
それぞれにご立派なおふたりでいらっしゃる。
「今夜、六条(ろくじょう)(いん)で昇進祝いの宴会(えんかい)をいたします。匂宮様もぜひお越しください」
と薫の君はお招きになったけれど、宮様は中君がご心配でためらわれた。

夕霧(ゆうぎり)大臣(だいじん)様のお(すす)めもあって、宴会は三条(さんじょう)のお屋敷ではなく六条の院で行われる。
親王(しんのう)様をはじめ貴族たちがたくさんお集まりになって、まるで大臣に昇進なさったかのようなにぎやかさよ。
匂宮様もお越しになった。
でも二条の院の中君が気になって落ち着かないので、早々(そうそう)にお帰りになる。

六条の院にお住まいの(ろく)(きみ)は、
「このままこちらにお泊まりになればよろしいのに」
と、ぼそりとおっしゃる。
中君は宮家(みやけ)姫君(ひめぎみ)であられるのだけれど、ご実家の強いご自分の方が上だとお思いのようね。