野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

(かおる)(きみ)匂宮(におうのみや)様に()けず(おと)らずご心配なさっている。
頻繁(ひんぱん)にお見舞いに上がるわけにもいかないから、ひそかに安産(あんざん)祈願(きがん)をさせなさる。

この中君(なかのきみ)のご出産と同じくらい、今、世間が注目していることがあるの。
それは(おんな)()(みや)様の裳着(もぎ)よ。
(はは)女御(にょうご)様が裳着の準備中にお亡くなりになるというご不幸があったけれど、()も明けて、もうすぐ儀式(ぎしき)が行われる。
母女御様は亡くなって、女二の宮様には頼りになるご親戚もいらっしゃらない。
でも、父君(ちちぎみ)であられる(みかど)が心をこめてご準備なさったから、かえって立派な儀式になりそう。
母女御様のなさっていたご準備も相当なものだったし、帝のお力があればあちこちからすばらしい宝物が集まってくるもの。

その先には(かおる)(きみ)とのご結婚が予定されている。
薫の君の方でもご準備をお進めになるべき時期だけれど、女二の宮様にご興味のわかない薫の君は、中君のご出産のことで頭がいっぱいでいらっしゃる。