三条のお屋敷にお着きになると、薫の君はさっそく蔦をお手紙に添えて中君に届けさせなさった。
ちょうど匂宮様が二条の院にいらっしゃったときで、中君はびくりとなさる。
<また面倒なお手紙では>
とご心配なさるけれど、もう女房が持ってきてしまったのだから、お隠しになることはできない。
「見事な蔦ではないか」
と、匂宮様はおそばに持ってこさせてご覧になる。
お手紙はおふたりでお読みになった。
「いかがお過ごしでしょうか。宇治へ行ってまいりました。山荘を移築してお堂にすることを、山寺の阿闍梨と相談いたしました。あなた様の正式なお許しをいただき次第、工事に取りかかることになっております。お許しくださるかどうかは山荘の弁の尼へお伝えくださいませ」
「ずいぶん素っ気ない手紙ですね。私がここにいると聞いて、わざとこんなふうに書いたのだろう」
匂宮様の推理は外れてはいないでしょうね。
無難な内容にほっとしていらしたところへ宮様が意地悪をおっしゃったものだから、中君は恨めしそうになさっている。
それがまたどれほどの罪でも許してしまいそうになるほどおかわいらしい。
「お返事をお書きなさい。私は見ないから」
とおっしゃって、宮様はむこう向きになられた。
書かないのも不自然なので、中君も事務的なお返事をなさる。
「宇治へ行かれたとのこと、うらやましゅうございます。山荘は、おっしゃるとおり移築してお堂にするのが一番よいと存じます。将来出家したら宇治へ引きこもるつもりですが、管理する人が常にいれば、それまで荒れることなく保てましょう。あなた様に工事を取り仕切っていただけましたらありがたいことです」
結局このお返事も宮様はご覧になって、
<問題ない交流のようだ>
とはお思いになる。
でもその一方で、ご自分ならこれだけの交流で終わらせるなんてありえないもの。
きっと薫の君もそうだろうとご不安になる。
ちょうど匂宮様が二条の院にいらっしゃったときで、中君はびくりとなさる。
<また面倒なお手紙では>
とご心配なさるけれど、もう女房が持ってきてしまったのだから、お隠しになることはできない。
「見事な蔦ではないか」
と、匂宮様はおそばに持ってこさせてご覧になる。
お手紙はおふたりでお読みになった。
「いかがお過ごしでしょうか。宇治へ行ってまいりました。山荘を移築してお堂にすることを、山寺の阿闍梨と相談いたしました。あなた様の正式なお許しをいただき次第、工事に取りかかることになっております。お許しくださるかどうかは山荘の弁の尼へお伝えくださいませ」
「ずいぶん素っ気ない手紙ですね。私がここにいると聞いて、わざとこんなふうに書いたのだろう」
匂宮様の推理は外れてはいないでしょうね。
無難な内容にほっとしていらしたところへ宮様が意地悪をおっしゃったものだから、中君は恨めしそうになさっている。
それがまたどれほどの罪でも許してしまいそうになるほどおかわいらしい。
「お返事をお書きなさい。私は見ないから」
とおっしゃって、宮様はむこう向きになられた。
書かないのも不自然なので、中君も事務的なお返事をなさる。
「宇治へ行かれたとのこと、うらやましゅうございます。山荘は、おっしゃるとおり移築してお堂にするのが一番よいと存じます。将来出家したら宇治へ引きこもるつもりですが、管理する人が常にいれば、それまで荒れることなく保てましょう。あなた様に工事を取り仕切っていただけましたらありがたいことです」
結局このお返事も宮様はご覧になって、
<問題ない交流のようだ>
とはお思いになる。
でもその一方で、ご自分ならこれだけの交流で終わらせるなんてありえないもの。
きっと薫の君もそうだろうとご不安になる。



