薫の君は匂宮様が二条の院にいつづけていらっしゃることに、つい嫉妬してしまわれる。
<いけない。愚かで常識外れな感情だ。亡くなった大君は、妹の中君を最後までご心配なさっていた。大君のかわりに、私が中君のお世話をしてさしあげようと決めたのだ。そのときの真面目な気持ちを忘れてはいけない。
宮様は夕霧大臣様の姫君とご結婚なさっても、中君のことを大切にしてくださっているのだ。後見役として何よりうれしいことではないか。そういえば、二条の院に伺ったとき、女房たちの着物が少し古びているのが気になった>
母君の尼宮様にお願いして、布地や仕立ててある着物をいくつか頂戴なさる。
「私ではなく他の男性とご結婚なさったあなた様を、ひたすらお恨みしているわけではありません」
というお手紙を添えて、中君の女房宛てにお贈りになった。
中君のためのお着物は、目立つようにはしていないけれど、箱に入れて特別に包んである。
年配の女房はいつもどおりに受け取った。
中君にはとくにお見せしない。
薫の君が生活面のお世話をしてくださることに慣れきっているのよね。
「とりあえず手元にあったものをいろいろと送ります。不揃いですがうまく使ってください」
というご伝言どおりに、てきぱきと他の女房たちに配った。
中君のおそばにお仕えする女房の着物を優先的に仕立てていく。
下働きの人たちにはさっぱりとした白い着物を着せた。
<いけない。愚かで常識外れな感情だ。亡くなった大君は、妹の中君を最後までご心配なさっていた。大君のかわりに、私が中君のお世話をしてさしあげようと決めたのだ。そのときの真面目な気持ちを忘れてはいけない。
宮様は夕霧大臣様の姫君とご結婚なさっても、中君のことを大切にしてくださっているのだ。後見役として何よりうれしいことではないか。そういえば、二条の院に伺ったとき、女房たちの着物が少し古びているのが気になった>
母君の尼宮様にお願いして、布地や仕立ててある着物をいくつか頂戴なさる。
「私ではなく他の男性とご結婚なさったあなた様を、ひたすらお恨みしているわけではありません」
というお手紙を添えて、中君の女房宛てにお贈りになった。
中君のためのお着物は、目立つようにはしていないけれど、箱に入れて特別に包んである。
年配の女房はいつもどおりに受け取った。
中君にはとくにお見せしない。
薫の君が生活面のお世話をしてくださることに慣れきっているのよね。
「とりあえず手元にあったものをいろいろと送ります。不揃いですがうまく使ってください」
というご伝言どおりに、てきぱきと他の女房たちに配った。
中君のおそばにお仕えする女房の着物を優先的に仕立てていく。
下働きの人たちにはさっぱりとした白い着物を着せた。



