「これだけ薫の君の香りがしみついているということは、薫の君と男女の関係になったのだろう」
ずけずけとおっしゃるので、中君はもう消えておしまいになりたい。
「私はあなたを特別に愛しているというのに。私の新しい結婚に腹を立てて、それならいっそ自分から捨ててやろうとお考えになったのですか。そんなことは身分の低い女のすることです。それに、しばらく留守がつづいたといっても、私の愛情をお疑いになるほど長い間ではなかったでしょう。意外なほど頼りないお心だな」
ここには書けないような、もっとひどいこともいろいろとおっしゃったわ。
中君は何の言い訳もなさらない。
それがまた宮様には憎い。
「あなたに触れた私にまで薫の君の香りがしみついてしまった。自分から漂う香りに嫉妬してしまう」
中君は黙ったままだったけれど、<このままではいけない>とやっとお返事なさった。
「一年も夫婦として暮らして、宮様だけを頼りにしておりましたのに。こんなことで浮気と決めつけて私を捨ててしまわれるのですか」
お泣きになるご様子がいじらしい。
<こういう人だから薫の君も放っておけないのだろう>
宮様はおふたりの仲が心配でたまらなくて、想像すると泣いてしまわれる。
浮気っぽい人は感受性が豊かなのかしら。
このいじらしさでは、本当にひどい浮気をなさっていたとしても憎みきることはおできにならないでしょうね。
可憐でお気の毒だから、恨み言も途中でおやめになって、むしろご機嫌をとるようにお話しになった。
ずけずけとおっしゃるので、中君はもう消えておしまいになりたい。
「私はあなたを特別に愛しているというのに。私の新しい結婚に腹を立てて、それならいっそ自分から捨ててやろうとお考えになったのですか。そんなことは身分の低い女のすることです。それに、しばらく留守がつづいたといっても、私の愛情をお疑いになるほど長い間ではなかったでしょう。意外なほど頼りないお心だな」
ここには書けないような、もっとひどいこともいろいろとおっしゃったわ。
中君は何の言い訳もなさらない。
それがまた宮様には憎い。
「あなたに触れた私にまで薫の君の香りがしみついてしまった。自分から漂う香りに嫉妬してしまう」
中君は黙ったままだったけれど、<このままではいけない>とやっとお返事なさった。
「一年も夫婦として暮らして、宮様だけを頼りにしておりましたのに。こんなことで浮気と決めつけて私を捨ててしまわれるのですか」
お泣きになるご様子がいじらしい。
<こういう人だから薫の君も放っておけないのだろう>
宮様はおふたりの仲が心配でたまらなくて、想像すると泣いてしまわれる。
浮気っぽい人は感受性が豊かなのかしら。
このいじらしさでは、本当にひどい浮気をなさっていたとしても憎みきることはおできにならないでしょうね。
可憐でお気の毒だから、恨み言も途中でおやめになって、むしろご機嫌をとるようにお話しになった。



