六条の院でのご生活がしばらく続いた匂宮様は、
<中君を悲しませて私はいったい何をしているのだ>
と、昨日につづいて二条の院へお戻りになった。
中君はおっとりとお迎えなさる。
<新しいご結婚にいじけていると思われたくない。宇治へ帰って心を落ち着けるつもりだったけれど、それも駄目になってしまった。頼りの薫の君にはとんでもない下心があるようだもの。結局、ここで匂宮様をお待ちするしかない悲しい運命なのだ。それもこれも死ぬまでの間のこと。もう成り行きにまかせて穏やかにしていよう>
かわいらしく素直なご様子に宮様はうれしくなって、
「ここ数日どれほど会いたかったことか」
と熱くささやかれた。
宮様は妊婦を見慣れていらっしゃらないので、少しふくらみはじめた中君のお腹を、愛しくめずらしくご覧になる。
気づまりな六条の院に比べて、こちらの二条の院は何もかも気楽でお懐かしい。
深いご愛情をお約束なさるのを、
<どこの男性もこんなふうに口がうまいものなのだろうか>
と中君は冷静にお聞きになっている。
<薫の君もいかにも親切そうなことばかりおっしゃったから、思いやりのある方だと長年信じこんでいた。それがあんな下心がおありだったなんて>
薫の君を頼りにできなくなった今は、疑う気持ちはありながらも、宮様のお約束に少しは期待なさるみたい。
<中君を悲しませて私はいったい何をしているのだ>
と、昨日につづいて二条の院へお戻りになった。
中君はおっとりとお迎えなさる。
<新しいご結婚にいじけていると思われたくない。宇治へ帰って心を落ち着けるつもりだったけれど、それも駄目になってしまった。頼りの薫の君にはとんでもない下心があるようだもの。結局、ここで匂宮様をお待ちするしかない悲しい運命なのだ。それもこれも死ぬまでの間のこと。もう成り行きにまかせて穏やかにしていよう>
かわいらしく素直なご様子に宮様はうれしくなって、
「ここ数日どれほど会いたかったことか」
と熱くささやかれた。
宮様は妊婦を見慣れていらっしゃらないので、少しふくらみはじめた中君のお腹を、愛しくめずらしくご覧になる。
気づまりな六条の院に比べて、こちらの二条の院は何もかも気楽でお懐かしい。
深いご愛情をお約束なさるのを、
<どこの男性もこんなふうに口がうまいものなのだろうか>
と中君は冷静にお聞きになっている。
<薫の君もいかにも親切そうなことばかりおっしゃったから、思いやりのある方だと長年信じこんでいた。それがあんな下心がおありだったなんて>
薫の君を頼りにできなくなった今は、疑う気持ちはありながらも、宮様のお約束に少しは期待なさるみたい。



