野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

夜が明けきる前に、(かおる)(きみ)から中君(なかのきみ)へお手紙が届いた。
いつものように、見た目だけは真面目ぶって立派にしてある。
「あの山荘(さんそう)での一晩のあとのように、満たされない思いで帰りました。あなた様の冷たいご態度はごもっともですが」
という内容で、中君は困ってしまわれる。

お返事を書かなければ女房(にょうぼう)不審(ふしん)に思うだろうと、
「お手紙は拝見いたしましたが、気分が悪いのでお返事できません」
とだけお書きになった。
薫の君はお読みになって、これだけかとがっかりなさる。
昨夜のおかわいらしいご様子を恋しく思い出していらっしゃる。