内裏の白菊が、寒さで紫がかって美しさを増したある日のこと。
悲しみを誘う時雨が降りだしたから、帝はやはり藤壺へお越しになった。
母女御様の思い出話などをなさると、女二の宮様はおっとりとしながらも聡明なお返事をされる。
かわいらしい姫宮だと帝はお思いになる。
<結婚させたとしても、この人柄ならきっと夫から深く愛されるはずだ>
神聖な内親王様は、できれば生涯独身のままでいらっしゃるのが理想なの。
でも、頼りになる後見役がいないときは、結婚して夫に後見される方がよい場合もある。
帝の妹君であられる女三の宮様もそうよ。
亡き上皇様は女三の宮様を源氏の君とご結婚させて、後見をお任せになってから出家なさった。
そうしてお生まれになったのが薫の君でいらっしゃる。
<妹宮が源氏の君に降嫁したときは、『神聖な内親王様に結婚などおさせしなくても』と非難する人もいた。しかし妹宮は今、薫の君から立派に後見されている。結婚して頼りになる息子を生んだからこそ、内親王らしく世間に尊敬されたまま生きてこられたのだ。夫や息子という安定した後見役に守られていなければ、恥ずかしい事件に巻きこまれて世間から軽蔑されていたかもしれない。
女二の宮も頼りになる後見役がいないのだから、やはり妹宮と同じように結婚させた方がよい。私が引退してからでは婿選びが不利だ。帝の位についているうちに決めてしまおう>
亡き上皇様は源氏の君に姫宮をお託しになった。
順番で言えば、上皇様のお子である帝は、源氏の君のお子に姫宮をお託しになるのがよさそう。
つまりそれは薫の君で、内親王の婿君に十分ふさわしい人でもある。
<婿にしてもよいと思える貴族は他にいない。薫の君なら女二の宮の隣に並べても釣り合うだろう。亡き八の宮様のご長女を恋人にしているらしいが、内親王の妻を軽んじることはないはずだ。今ならまだ正妻が決まっていない。他の家にとられてしまう前に、女二の宮の婿にしてしまいたい>
と、たびたびお考えになっていた。
悲しみを誘う時雨が降りだしたから、帝はやはり藤壺へお越しになった。
母女御様の思い出話などをなさると、女二の宮様はおっとりとしながらも聡明なお返事をされる。
かわいらしい姫宮だと帝はお思いになる。
<結婚させたとしても、この人柄ならきっと夫から深く愛されるはずだ>
神聖な内親王様は、できれば生涯独身のままでいらっしゃるのが理想なの。
でも、頼りになる後見役がいないときは、結婚して夫に後見される方がよい場合もある。
帝の妹君であられる女三の宮様もそうよ。
亡き上皇様は女三の宮様を源氏の君とご結婚させて、後見をお任せになってから出家なさった。
そうしてお生まれになったのが薫の君でいらっしゃる。
<妹宮が源氏の君に降嫁したときは、『神聖な内親王様に結婚などおさせしなくても』と非難する人もいた。しかし妹宮は今、薫の君から立派に後見されている。結婚して頼りになる息子を生んだからこそ、内親王らしく世間に尊敬されたまま生きてこられたのだ。夫や息子という安定した後見役に守られていなければ、恥ずかしい事件に巻きこまれて世間から軽蔑されていたかもしれない。
女二の宮も頼りになる後見役がいないのだから、やはり妹宮と同じように結婚させた方がよい。私が引退してからでは婿選びが不利だ。帝の位についているうちに決めてしまおう>
亡き上皇様は源氏の君に姫宮をお託しになった。
順番で言えば、上皇様のお子である帝は、源氏の君のお子に姫宮をお託しになるのがよさそう。
つまりそれは薫の君で、内親王の婿君に十分ふさわしい人でもある。
<婿にしてもよいと思える貴族は他にいない。薫の君なら女二の宮の隣に並べても釣り合うだろう。亡き八の宮様のご長女を恋人にしているらしいが、内親王の妻を軽んじることはないはずだ。今ならまだ正妻が決まっていない。他の家にとられてしまう前に、女二の宮の婿にしてしまいたい>
と、たびたびお考えになっていた。



