野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

(ろく)(きみ)とのご結婚が成立した匂宮(におうのみや)様は、昼間の六の君のお姿を見てさらに夢中になってしまわれた。
お体は小さすぎも大きすぎもせず、ちょうどよいくらい。
(ぐし)の感じも立派で、色白の(ほお)に健康的な赤みが差している。
()(だか)いお顔立ちのなかでも、とくにお目元はこちらが恥ずかしくなるほど美しい。
最高の美人といって間違いない姫君(ひめぎみ)よ。

お年は二十一、二歳でいらっしゃる。
少女ではないから、十分成長なさっていて(はな)(ざか)りのよう。
大臣(だいじん)様はこの六の君をこれ以上なく大切になさっているの。
たしかに親からすれば、将来を期待してどきどきはらはらしてしまう姫君よね。

優しく愛嬌(あいきょう)があるという点では、やはり中君(なかのきみ)が一番でいらっしゃる。
でも、六の君には聡明(そうめい)さがおありになる。
(みや)様が何かおっしゃると、恥じらいながらもきちんとお返事なさる。
(すぐ)れたところが多くて(かしこ)そうな姫君よ。

若い女房(にょうぼう)女童(めのわらわ)がたくさんお仕えしているけれど、今ひとつな人はひとりも混ざっていない。
夕霧(ゆうぎり)大臣(だいじん)様はさらにひと工夫なさる。
<正式な着物を着た女房などは見慣れていらっしゃるだろう。匂宮様の気を引くためには目新しさが必要だ>
と、女房たちにめずらしい着物をお着せになっている。

ご長女を東宮(とうぐう)様に差し上げなさったときよりも、大臣様はこのご結婚に力を入れていらっしゃる。
匂宮様のご将来に確信(かくしん)をもっておられるのでしょうね。