野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

ご結婚初日の昨夜は遅くまで二条(にじょう)(いん)にいらっしゃったけれど、今夜はまだ夜が()けないうちにお出かけになるみたい。
(みや)様のお行列の声が遠ざかっていけばいくほど、中君(なかのきみ)のお目から涙があふれる。
嫉妬(しっと)なんて我ながらみっともない>
と思いながら横になっていらっしゃる。

<思えば宮様には初めから苦しめられてばかりだった>
宇治(うじ)での不安な日々まで思い出されて、もう宮様が嫌になってしまわれる。
<出産だってどうなるだろう。短命(たんめい)家系(かけい)なのだから、何かあって死んでしまうかもしれない。それもよいけれど、やはり悲しいし、出産で命を落とすのは(つみ)深いというから>
あれこれお考えになっているうちに、一睡(いっすい)もできないまま夜が明けていった。