野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

二条(にじょう)(いん)へお戻りになっても、すぐに中君(なかのきみ)のお部屋へは行かれない。
ご自分のお部屋でひと眠りなさってから、(ろく)(きみ)へお手紙をお書きになった。
女房(にょうぼう)たちは顔を見合わせると、
「ご機嫌(きげん)がお悪くはないようね」
とひそひそ話している。
「こうなるとこちらの奥様がお気の毒だこと。どれだけ(みや)様が平等に愛そうとなさっても、自然と気圧(けお)されることもおありでしょうね」
中君(なかのきみ)の味方になって、新しいご結婚に文句を言う。

しばらくすれば六の君からお返事が届くはず。
<ここにいる間に受け取りたい>
と宮様はお思いになるけれど、中君がご心配でいそいで離れへ向かわれた。