野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

匂宮(におうのみや)様は念入りに()支度(じたく)して六条(ろくじょう)(いん)へお越しになった。
もちろん中君(なかのきみ)を思えば心苦しいけれど、六条の院でお待ちの方々に立派な婿(むこ)だと思われたいというお気持ちもある。
お着物にすばらしい香りを()きしめたお姿は、言いようもなくお美しい。
そして、(ろく)(きみ)のお部屋もそれにふさわしい華やかさだった。

六の君ご本人は、小柄(こがら)姫君(ひめぎみ)ではなくて大人の女性らしいお姿よ。
<あの(かた)(くる)しい大臣(だいじん)の姫だから、いばっていて優しいところのない人かもしれない>
と宮様は思っていらした。
でも、予想とはまったく違ったのでしょうね、かなりお気に召したみたい。
長いはずの秋の夜だけれど、遅くなってからお訪ねになったから、あっという間に夜が明けてしまった。