野いちご源氏物語 四九 宿木(やどりき)

日が高くなって、お部屋に女房(にょうぼう)たちが増えてきた。
<あまり長居(ながい)したら(わけ)ありのように見えてしまうだろう>
そろそろ退出しようと、
()(えん)に座らされることに慣れておりませんから、どうにも落ち着きません。また近いうちにお(うかが)いいたしましょう」
とお立ちになった。

あとで匂宮(におうのみや)様が不審(ふしん)に思われるといけないから、宮家(みやけ)の家来をお呼びになっておっしゃる。
「昨夜内裏(だいり)からお戻りになったと聞いて(うかが)ったのだが、お留守で残念だった。今から内裏に上がればお目にかかれるだろうか」
「今日はこちらへお戻りになるご予定でございます」
「ならば夕方もう一度参ろう」
宮様に御用(ごよう)があったように言ってご退出なさった。