「秋は何かと考えこんでしまう季節でございますね。気分を紛らわせようと、実は先日宇治へ行ってまいりました。山荘はますます荒れて、見ていてつらいほどでございました。六条の院も父が亡くなってからずいぶん荒れたのです。女君たちが引っ越されて、女房たちも出ていき、なんとも悲しい有り様でした。もうこれはおしまいかと思ったころ、夕霧大臣様がお移りになりましてね。中宮様の皇子様たちもときどきご滞在なさいますから、今はかつてのようなにぎやかなお屋敷に戻っております。
父が亡くなった悲しみも、六条の院が元の姿に戻っていくにつれて薄らいでいきました。何事もそういうものかもしれません。そのときはこれ以上ないほど悲しいと思っても、年月が経てば新しい形になって落ち着いてくる。しかしそうは申しましても、私が父を亡くしたのは幼いころで、悲しみというものをよくわかっていたかどうか。大君を失った悲しみはいつまでも忘れられないような気がするのです」
そう言ってお泣きになるお姿に、
<姉君を深く愛しておられたのだ>
と中君は感動なさる。
父が亡くなった悲しみも、六条の院が元の姿に戻っていくにつれて薄らいでいきました。何事もそういうものかもしれません。そのときはこれ以上ないほど悲しいと思っても、年月が経てば新しい形になって落ち着いてくる。しかしそうは申しましても、私が父を亡くしたのは幼いころで、悲しみというものをよくわかっていたかどうか。大君を失った悲しみはいつまでも忘れられないような気がするのです」
そう言ってお泣きになるお姿に、
<姉君を深く愛しておられたのだ>
と中君は感動なさる。



