家来をお呼びになって、
「二条の院へ参るから目立たない乗り物を用意せよ」
とお命じになった。
「匂宮様は昨日から内裏においでのようでございますが」
家来がお返事すると、
「それでもよい。近ごろ中君がご体調を崩されているらしい。お見舞いを申し上げようと思うのだ。私も今日は参内しなければならないから、日が高くなる前に伺いたい」
と言ってお着替えをなさる。
乗り物にお乗りになる前に、お庭の花の方へ近づかれる。
花のなかにたたずむ薫の君は、とくに着飾っていらっしゃるわけではないけれど、上品でご立派な雰囲気がおありよ。
おしゃれに必死になっている男たちとは格が違う。
自然と美しく見えてしまうの。
やっと開いた朝顔を引き寄せなさると、露がひどくこぼれた。
「ほんの短い時間だが愛でよう。露が消えてしまうころにはしおれてしまうと分かっているけれど」
独り言をおっしゃると一枝お折りになった。
美しい女房たちの方は、もうちらりともご覧にならない。
「二条の院へ参るから目立たない乗り物を用意せよ」
とお命じになった。
「匂宮様は昨日から内裏においでのようでございますが」
家来がお返事すると、
「それでもよい。近ごろ中君がご体調を崩されているらしい。お見舞いを申し上げようと思うのだ。私も今日は参内しなければならないから、日が高くなる前に伺いたい」
と言ってお着替えをなさる。
乗り物にお乗りになる前に、お庭の花の方へ近づかれる。
花のなかにたたずむ薫の君は、とくに着飾っていらっしゃるわけではないけれど、上品でご立派な雰囲気がおありよ。
おしゃれに必死になっている男たちとは格が違う。
自然と美しく見えてしまうの。
やっと開いた朝顔を引き寄せなさると、露がひどくこぼれた。
「ほんの短い時間だが愛でよう。露が消えてしまうころにはしおれてしまうと分かっているけれど」
独り言をおっしゃると一枝お折りになった。
美しい女房たちの方は、もうちらりともご覧にならない。



