薫の君はこの機会に出家しようとお思いになる。
でも、母宮様がお悲しみになるだろうし、ご自分が出家なさったら中君のお世話をする人がいなくなってしまう。
<中君と結婚してほしいと大君に言われたときには、いくらご姉妹でも心を移すことなどできないとお断りしたのだった。しかし、匂宮様にほとんど捨てられてしまわれた今の中君を思えば、そうしておいた方がよかったのかもしれない。大君の思い出話ができる相手として、お互いに慰めあえたのではないか>
今さらどうにもならないことをお考えになっていて、都に少し戻ろうともなさらない。
すっかり沈みこんで宇治に籠っていらっしゃるのを、<よほど深いご愛情だったのだろう>と世間は見ている。
帝をはじめとしてお見舞いがたくさん届く。
ぼんやりなさっているだけでも日は過ぎていく。
七日ごとのご法要を念入りに催されるけれど、ご夫婦ではなかったから、薫の君は喪服をお召しになれない。
女房たちが黒い喪服を着ているのをうらやましくご覧になる。
「血の涙を流して悲しんでいても喪服は着られないのか」
皮肉なほどきれいな色合いのお着物をお召しになっている。
お袖を涙でひどく濡らして物思いをなさっているご様子は、とても上品でお美しい。
女房たちはこっそり覗いて、
「大君はもう戻っていらっしゃいませんけれど、薫の君までお越しにならなくなると思うと残念です。ご姉妹そろってうまくいかない運命でいらっしゃいましたね。これほど婿君にふさわしい方と、どちらもお幸せになれなかったなんて」
と泣きあっている。
でも、母宮様がお悲しみになるだろうし、ご自分が出家なさったら中君のお世話をする人がいなくなってしまう。
<中君と結婚してほしいと大君に言われたときには、いくらご姉妹でも心を移すことなどできないとお断りしたのだった。しかし、匂宮様にほとんど捨てられてしまわれた今の中君を思えば、そうしておいた方がよかったのかもしれない。大君の思い出話ができる相手として、お互いに慰めあえたのではないか>
今さらどうにもならないことをお考えになっていて、都に少し戻ろうともなさらない。
すっかり沈みこんで宇治に籠っていらっしゃるのを、<よほど深いご愛情だったのだろう>と世間は見ている。
帝をはじめとしてお見舞いがたくさん届く。
ぼんやりなさっているだけでも日は過ぎていく。
七日ごとのご法要を念入りに催されるけれど、ご夫婦ではなかったから、薫の君は喪服をお召しになれない。
女房たちが黒い喪服を着ているのをうらやましくご覧になる。
「血の涙を流して悲しんでいても喪服は着られないのか」
皮肉なほどきれいな色合いのお着物をお召しになっている。
お袖を涙でひどく濡らして物思いをなさっているご様子は、とても上品でお美しい。
女房たちはこっそり覗いて、
「大君はもう戻っていらっしゃいませんけれど、薫の君までお越しにならなくなると思うと残念です。ご姉妹そろってうまくいかない運命でいらっしゃいましたね。これほど婿君にふさわしい方と、どちらもお幸せになれなかったなんて」
と泣きあっている。



