野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

内裏(だいり)舞姫(まいひめ)()うのは今日のはずだ>
華やかな行事が(もよお)されている都のことを(かおる)(きみ)はぼんやりとお考えになる。
強い風に雪が吹かれ、荒れまどうように降っている。

<都はこれほど荒れた天気ではないだろう。大君(おおいぎみ)のご病状(びょうじょう)だけでなく、山里(やまざと)の天気まで私を心細くさせる。結局私たちは夫婦になれずに終わるのだろうか。つらい運命だが誰のせいにすることもできない。
残された時間が短いのなら、少しの間だけでもいつものあの人に戻ってほしい。思っていることを語り合って()いの残らないようにしたい>

そうお考えになっているうちに、日も差さないまま夜になった。
「空は暗く、宇治(うじ)も私の心も暗い」
とつぶやかれる。