大君ご自身が、元気になりたいと思っていらっしゃればまだ可能性はあるかもしれない。
でも、まったくそんなことはお考えではない。
<もう死んでしまいたい。付き添いだ看病だとおっしゃって、薫の君に何もかも見られてしまった。回復したら当然妻として扱われるだろう。今は深いご愛情に見えるけれど、先のことは分からない。お互いにがっかりすることになったらつらいではないか。
もし命が助かってしまったら病気を理由に出家しよう。尼になれば、恋愛抜きで純粋な誠意を伝えあうことができる>
ご決意は固いけれど、女のご自分が「出家したい」とはっきり口に出すのはためらわれて、さりげなく中君にお願いなさる。
「いよいよ死が近づいている気がします。形だけでも出家すれば寿命が延びるそうですから、あなたから阿闍梨にお願いしてくれませんか」
中君も女房たちも泣きさわいで拒絶する。
「絶対にいけません。あれほど必死にご回復を祈っておられる薫の君も、そんなことをお聞きになったらどれほどがっかりなさるか」
とんでもないことだと思って阿闍梨にはお伝えしないし、薫の君にご相談もしない。
でも、まったくそんなことはお考えではない。
<もう死んでしまいたい。付き添いだ看病だとおっしゃって、薫の君に何もかも見られてしまった。回復したら当然妻として扱われるだろう。今は深いご愛情に見えるけれど、先のことは分からない。お互いにがっかりすることになったらつらいではないか。
もし命が助かってしまったら病気を理由に出家しよう。尼になれば、恋愛抜きで純粋な誠意を伝えあうことができる>
ご決意は固いけれど、女のご自分が「出家したい」とはっきり口に出すのはためらわれて、さりげなく中君にお願いなさる。
「いよいよ死が近づいている気がします。形だけでも出家すれば寿命が延びるそうですから、あなたから阿闍梨にお願いしてくれませんか」
中君も女房たちも泣きさわいで拒絶する。
「絶対にいけません。あれほど必死にご回復を祈っておられる薫の君も、そんなことをお聞きになったらどれほどがっかりなさるか」
とんでもないことだと思って阿闍梨にはお伝えしないし、薫の君にご相談もしない。



