野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

明け方、お祈りをしていた阿闍梨(あじゃり)大君(おおいぎみ)に声をおかけした。
「夜の間のご気分はいかがでしたか」
とお尋ねしてから、泣くのを我慢(がまん)した声で亡き(はち)(みや)様の思い出話をする。

「あの世ではどのような世界にいらっしゃるのでしょうか。極楽(ごくらく)浄土(じょうど)に行かれたに違いないと思っておりましたが、どうやらまだご成仏(じょうぶつ)なさっていないようです。先日私の夢に現れてくださったときにおっしゃいました。
『この世に未練(みれん)はないはずだったが、姫たちのことが気になって成仏できないでいる。(くや)しいことだ。成仏するためのお祈りをしてほしい』
はっきりとそうおっしゃいましたから、私もできる限りのことをしているところでございます」

(かおる)(きみ)はお泣きになる。
大君もつらそうにお聞きになっている。
父宮(ちちみや)様はあの世でさえ私のせいで苦しんでいらっしゃる。こんな私は早く死んでしまった方がよい。まだご成仏できずにさまよっていらっしゃるなら、急いで追いかけて、父宮様と同じところへ参りたい>