ご体調が悪いときにそんな噂までお聞きになって、大君はもう生きていられる気がなさらない。
<あの人たちにどう言われたって気にする必要はないけれど、それでも聞きたくない>
女房たちの声が届かないようにお着物をかぶって寝てしまおうとなさる。
中君も物思いに疲れてしまわれたのか、うたた寝をしていらっしゃる。
お腕を枕にして横になっていらっしゃるのがとてもおかわいらしい。
お髪が豊かにたまっているところなどを大君はほれぼれとご覧になる。
妹君のことを愛しく思えば思うほど、
<父宮様のご遺言に背いて不幸な目に遭わせてしまった>
と大君は悲しくなってしまわれる。
<あぁ、父宮様。極楽浄土にいらっしゃるのでしょうか。私たちのことが気がかりで、ご成仏おできにならなかったのではと申し訳なく思っております。さすがに地獄に堕ちてはおられないと信じておりますが、そちらはどのような世界ですか。どのようなところでもかまいませんから、父宮様のおられるところに私たちをお呼びくださいませ。ここまで追いつめられた私たちを放っておいて、夢にさえ現れてくださらないのはひどうございます>
お胸のうちで祈りつづけていらっしゃる。
夕暮れ時には灰色の雲が広がって時雨が降りはじめた。
お庭を低く吹いていく風の音にも心細くなって、これまでやこれからのことを大君は延々と考えてしまわれる。
そのご様子がとても上品でいらっしゃるの。
白いお着物をお召しで、お髪はしばらくといていないのに、乱れることなくまっすぐ。
近ごろさらに青白くなったお肌もお美しさを引き立てている。
ぼんやりと遠くをご覧になるお顔を、美しいものが分かる人に見せたいほどよ。
<あの人たちにどう言われたって気にする必要はないけれど、それでも聞きたくない>
女房たちの声が届かないようにお着物をかぶって寝てしまおうとなさる。
中君も物思いに疲れてしまわれたのか、うたた寝をしていらっしゃる。
お腕を枕にして横になっていらっしゃるのがとてもおかわいらしい。
お髪が豊かにたまっているところなどを大君はほれぼれとご覧になる。
妹君のことを愛しく思えば思うほど、
<父宮様のご遺言に背いて不幸な目に遭わせてしまった>
と大君は悲しくなってしまわれる。
<あぁ、父宮様。極楽浄土にいらっしゃるのでしょうか。私たちのことが気がかりで、ご成仏おできにならなかったのではと申し訳なく思っております。さすがに地獄に堕ちてはおられないと信じておりますが、そちらはどのような世界ですか。どのようなところでもかまいませんから、父宮様のおられるところに私たちをお呼びくださいませ。ここまで追いつめられた私たちを放っておいて、夢にさえ現れてくださらないのはひどうございます>
お胸のうちで祈りつづけていらっしゃる。
夕暮れ時には灰色の雲が広がって時雨が降りはじめた。
お庭を低く吹いていく風の音にも心細くなって、これまでやこれからのことを大君は延々と考えてしまわれる。
そのご様子がとても上品でいらっしゃるの。
白いお着物をお召しで、お髪はしばらくといていないのに、乱れることなくまっすぐ。
近ごろさらに青白くなったお肌もお美しさを引き立てている。
ぼんやりと遠くをご覧になるお顔を、美しいものが分かる人に見せたいほどよ。



