薫の君がご出発なさるということで、お供は慌ただしく準備を始める。
あら、女房たちの部屋からこっそり出てきて準備に加わった人がいるわ。
どうやらいつの間にか山荘の若い女房と恋人同士になっていたみたい。
昨夜の寝物語で、ぺらぺらとこんな話をしていたのよ。
「匂宮様が近ごろまったくお越しになっていないだろう。中宮様から外出を禁止されて、内裏に閉じこめられていらっしゃるのだ。宮様を落ち着かせるために、中宮様は夕霧大臣様の姫君とのご結婚をお考えらしい。大臣様も長年望まれていたことだから、話はとんとん拍子に進んで、年内にはご結婚ということになるだろう。
宮様ご自身は乗り気ではないようだが、中宮様と大臣様に手を組まれたらお逃げにはなれまい。ふてくされておられるのか、内裏では美しい女房たちを相手に遊んでいらっしゃるとか。帝や中宮様がご注意なさっても聞く耳を持たれないそうだよ。
それに比べて私の主人はめずらしいほど真面目でいらっしゃる。つまらない男だと言われておいでだったのに、ここにだけは熱心にお通いだから、よほど深いご愛情がおありなのだろうと世間も噂しているのだ」
この話を聞いた女房が他の女房たちにも話しているのを、大君がお聞きになってしまったの。
<もうおしまいだ。ご立派な姫君とのご結婚が決まるまでの間、遊びで妹に手を出されただけだったのだ。あれほどご熱心だったのも、薫の君に仲介させるために、真剣な恋のように見せかけていらっしゃったのだろう>
そう思いこまれるとますますお胸が苦しくなって、よろよろと臥せってしまわれた。
あら、女房たちの部屋からこっそり出てきて準備に加わった人がいるわ。
どうやらいつの間にか山荘の若い女房と恋人同士になっていたみたい。
昨夜の寝物語で、ぺらぺらとこんな話をしていたのよ。
「匂宮様が近ごろまったくお越しになっていないだろう。中宮様から外出を禁止されて、内裏に閉じこめられていらっしゃるのだ。宮様を落ち着かせるために、中宮様は夕霧大臣様の姫君とのご結婚をお考えらしい。大臣様も長年望まれていたことだから、話はとんとん拍子に進んで、年内にはご結婚ということになるだろう。
宮様ご自身は乗り気ではないようだが、中宮様と大臣様に手を組まれたらお逃げにはなれまい。ふてくされておられるのか、内裏では美しい女房たちを相手に遊んでいらっしゃるとか。帝や中宮様がご注意なさっても聞く耳を持たれないそうだよ。
それに比べて私の主人はめずらしいほど真面目でいらっしゃる。つまらない男だと言われておいでだったのに、ここにだけは熱心にお通いだから、よほど深いご愛情がおありなのだろうと世間も噂しているのだ」
この話を聞いた女房が他の女房たちにも話しているのを、大君がお聞きになってしまったの。
<もうおしまいだ。ご立派な姫君とのご結婚が決まるまでの間、遊びで妹に手を出されただけだったのだ。あれほどご熱心だったのも、薫の君に仲介させるために、真剣な恋のように見せかけていらっしゃったのだろう>
そう思いこまれるとますますお胸が苦しくなって、よろよろと臥せってしまわれた。



