<これほど美しい人を、よくも今までこんなところに放っておいたものだ。警備も女房も足りない山荘なのだから、好色な男が来ていたら簡単に横取りされていただろう>
想像なさるだけでも悔しくて、ご自分の呑気さにぞっとなさる。
いっそ今関係を持ってしまおうかとお思いになるけれど、目の前の大君は言葉にならないほどつらいと思って泣いていらっしゃるの。
<さすがにそれはお気の毒だ。こんな無理やりではなくて、自然とお心がゆるむのをお待ちしよう>
そうお決めになると、大君をなぐさめるようなことをやさしくおっしゃる。
でも、これだけのことをされて、すぐに立ち直れる姫君ではいらっしゃらない。
「こんな下心がおありだとは思わず、常識外れなほどお親しくしておりました。不吉な喪服姿までご覧になろうというお心も悲しゅうございますが、これまでの自分の愚かさにもあきれ果てまして、どうにも心を落ち着けられません」
やつれた喪服姿を見られてしまったことを、恥ずかしくつらいとお思いになっている。
「まだお父宮の喪が明けていないのにというお叱りはごもっともです。しかし、私たちは長く交流を続けてきた仲で、誠意も十分にお見せしたつもりです。それでも喪中を口実にお拒みにならなければなりませんか」
薫の君は、二年前にご姉妹を垣間見したことを打ち明けなさった。
大君が筝、中君が琵琶で合奏なさっていた夜よ。
そこから恋がはじまって思いが募っていったあれこれをお話しになる。
<姿を見られていたなんて。恥ずかしい。そんな恋心がありながら、表面上は真面目ぶっていらっしゃったのだ>
大君はひとつひとつに衝撃を受けながらお聞きになっている。
想像なさるだけでも悔しくて、ご自分の呑気さにぞっとなさる。
いっそ今関係を持ってしまおうかとお思いになるけれど、目の前の大君は言葉にならないほどつらいと思って泣いていらっしゃるの。
<さすがにそれはお気の毒だ。こんな無理やりではなくて、自然とお心がゆるむのをお待ちしよう>
そうお決めになると、大君をなぐさめるようなことをやさしくおっしゃる。
でも、これだけのことをされて、すぐに立ち直れる姫君ではいらっしゃらない。
「こんな下心がおありだとは思わず、常識外れなほどお親しくしておりました。不吉な喪服姿までご覧になろうというお心も悲しゅうございますが、これまでの自分の愚かさにもあきれ果てまして、どうにも心を落ち着けられません」
やつれた喪服姿を見られてしまったことを、恥ずかしくつらいとお思いになっている。
「まだお父宮の喪が明けていないのにというお叱りはごもっともです。しかし、私たちは長く交流を続けてきた仲で、誠意も十分にお見せしたつもりです。それでも喪中を口実にお拒みにならなければなりませんか」
薫の君は、二年前にご姉妹を垣間見したことを打ち明けなさった。
大君が筝、中君が琵琶で合奏なさっていた夜よ。
そこから恋がはじまって思いが募っていったあれこれをお話しになる。
<姿を見られていたなんて。恥ずかしい。そんな恋心がありながら、表面上は真面目ぶっていらっしゃったのだ>
大君はひとつひとつに衝撃を受けながらお聞きになっている。



