野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

山荘(さんそう)では大君(おおいぎみ)があいかわらずお心を痛めておられる。
<妹は匂宮(におうのみや)様に捨てられてしまったのだ>
とお思いのところへ、(かおる)(きみ)がお越しになった。
大君がご病気とお聞きになってお見舞いにいらっしゃったの。

苦しんでお気を失うほどのご体調ではないけれど、大君は何かと理由をつけてお会いにならない。
「驚いてはるばるやって参ったのです。どうかご病床(びょうしょう)の近くにお入れください」
真剣にご心配なさっておっしゃるので、女房(にょうぼう)は大君のお部屋近くに客席をご用意した。
<勝手なことをして>
と大君は苦々しく思われるけれど、薫の君を遠ざけようとはなさらない。
(つむり)をもたげてお話をなさる。