野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

匂宮(におうのみや)様は中君(なかのきみ)以上にお苦しい。
(りょう)()れためずらしい魚を召し上がるどころではない。
(とも)はどなたも満足そうななかで、宮様だけはお胸がふさがって、空をぼんやりとお(なが)めになっている。

山荘(さんそう)のお庭はすぐそこに見えて、木の枝に特別な風情(ふぜい)がある。
一年中緑の葉をつける木に、華やかに紅葉(こうよう)した(つた)の葉がまとわりついている。
遠くから見てもはっとするほど(あざ)やかで、何か言いたそうな雰囲気がある。

(かおる)(きみ)はご出発の支度(したく)をなさりながら、
姫君(ひめぎみ)たちに期待させるようなことを言ってしまった。お気の毒なことになった>
と後悔なさっている。