野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

(ろう)女房(にょうぼう)たちはよろこんでおふたりをお迎えした。
せっせと客席をご用意する。
(みや)様がお越しにならない間は、ずいぶんと文句を言っていたのだけれど。

近ごろ山荘(さんそう)には、若い女房(にょうぼう)が二、三人お仕えしはじめた。
老女房たちの娘や(めい)よ。
こんな山里(やまざと)で女房(づと)めはできないと都に出てしまっていたのを、探して呼び戻したみたい。
貧しい宮家(みやけ)馬鹿(ばか)にしていた人たちだから、
<とんでもなく高貴(こうき)なお客様がおふたりも>
と驚いている。

大君(おおいぎみ)匂宮(におうのみや)様のお越しをおよろこびになった。
(かおる)(きみ)がご一緒なことだけは気まずく面倒に思われる。
<しかし、ゆっくりと慎重(しんちょう)物事(ものごと)を進めようとしてくださる方だ。匂宮様はそうではいらっしゃらなかった>
ふつうの男性のやり方をご覧になったことで、薫の君の(すぐ)れた点にお気づきになった。
今はそのお人柄(ひとがら)に感謝なさっている。