<秋ももうすぐ終わりだ。宇治の景色はすっかり物寂しくなっているだろう>
時雨が降って空に暗い雲が立ちこめた夕暮れ、匂宮様はお心が落ち着かない。
<どうしようか、宇治へ行こうか>
ご自分だけでは思いきれずにいらしゃるところへ、薫の君がお越しになった。
「雨の宇治はどうなっているでしょうね」
宮様が迷っておられることなどお見通しで、薫の君がおっしゃる。
心強い味方が来てくれたと宮様はにっこりなさる。
薫の君を誘って宇治へお出かけになった。
山道を進んでいくにつれ、宮様は中君がどれほど心細く待っているだろうかとご想像なさる。
「私も心苦しいのだ」
と薫の君に訴えて、おつらそうにしていらっしゃる。
黄昏時の薄暗く寂しい道に、雨が冷たく降りつける。
秋の終わりはひどく寒々しい。
雨に濡れたおふたりのお着物から、いつも以上に強い香りが漂う。
この世のものとは思えないほど上品な香りで、山のなかに住む人たちはさぞや驚いたことでしょうね。
時雨が降って空に暗い雲が立ちこめた夕暮れ、匂宮様はお心が落ち着かない。
<どうしようか、宇治へ行こうか>
ご自分だけでは思いきれずにいらしゃるところへ、薫の君がお越しになった。
「雨の宇治はどうなっているでしょうね」
宮様が迷っておられることなどお見通しで、薫の君がおっしゃる。
心強い味方が来てくれたと宮様はにっこりなさる。
薫の君を誘って宇治へお出かけになった。
山道を進んでいくにつれ、宮様は中君がどれほど心細く待っているだろうかとご想像なさる。
「私も心苦しいのだ」
と薫の君に訴えて、おつらそうにしていらっしゃる。
黄昏時の薄暗く寂しい道に、雨が冷たく降りつける。
秋の終わりはひどく寒々しい。
雨に濡れたおふたりのお着物から、いつも以上に強い香りが漂う。
この世のものとは思えないほど上品な香りで、山のなかに住む人たちはさぞや驚いたことでしょうね。



