<今夜はこちらに泊まって大君とゆっくりお話がしたい>
と、薫の君は夕方になっても帰るそぶりをお見せにならない。
はっきりと求婚めいたことをおっしゃるわけではないものの、何か言いたいことがおありのご様子に大君は警戒なさる。
ついたて越しに直接お話しするのも辞退なさりたいところだけれど、普段はご親切な方だもの。
冷たくお断りしてお部屋の奥に籠っていることもできず、結局出ておいでになった。
仏像のあるお部屋に明るく灯りをともして、大君がお座りになっている。
薫の君との間の戸は開けてある。
簾がかかっているだけだから、大君はお姿が透けて見えないように、ついたてに隠れていらっしゃるの。
女房が薫の君のお部屋の方にも灯りをともそうとしたけれど、薫の君はお断りになった。
「なんとなく体がだるいので横になりたいのだ。失礼な姿があちらから見えてはいけないから」
とおっしゃる。
果物などがさりげなく出された。
薫の君のお供たちは、少し離れたところでおもてなしを受けている。
こちらの方は静かで、おふたりはしんみりと語り合われる。
大君はうちとけたご様子はお見せにならないけれど、やさしくかわいらしい話し方をなさる。
ますます薫の君のお心は惹かれていく。
と、薫の君は夕方になっても帰るそぶりをお見せにならない。
はっきりと求婚めいたことをおっしゃるわけではないものの、何か言いたいことがおありのご様子に大君は警戒なさる。
ついたて越しに直接お話しするのも辞退なさりたいところだけれど、普段はご親切な方だもの。
冷たくお断りしてお部屋の奥に籠っていることもできず、結局出ておいでになった。
仏像のあるお部屋に明るく灯りをともして、大君がお座りになっている。
薫の君との間の戸は開けてある。
簾がかかっているだけだから、大君はお姿が透けて見えないように、ついたてに隠れていらっしゃるの。
女房が薫の君のお部屋の方にも灯りをともそうとしたけれど、薫の君はお断りになった。
「なんとなく体がだるいので横になりたいのだ。失礼な姿があちらから見えてはいけないから」
とおっしゃる。
果物などがさりげなく出された。
薫の君のお供たちは、少し離れたところでおもてなしを受けている。
こちらの方は静かで、おふたりはしんみりと語り合われる。
大君はうちとけたご様子はお見せにならないけれど、やさしくかわいらしい話し方をなさる。
ますます薫の君のお心は惹かれていく。



