野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

大君(おおいぎみ)がちらりとご覧になると、その(ろう)女房(にょうぼう)たちは、年齢に合わない華やかな着物を着てめかしこんでいる。
女房(にょうぼう)たちのことを笑えない。私も(おんな)(ざか)りを過ぎた身だ。鏡を見れば、どんどんやせて貧相(ひんそう)になっている。まだこの人たちほどみっともなくはないと思っているけれど、それは気のせいかもしれない。この人たちだって、自分をみっともないなどと思っていないのだろうから>

大君(おおいぎみ)は二十六歳。
この当時の姫君(ひめぎみ)としては、ご自分の若さに自信を持って恋愛ができるお年ではない。
<あと一年か二年もすれば、誰が見てもはっきりと()けてしまうだろう。その一方で、(かおる)(きみ)はますます(おとこ)(ざか)りになっていかれる。ご結婚などできはしない>
ご自分のお体の弱さにも気づいていらっしゃる。
袖口(そでぐち)から細くてか弱いお手を出してご覧になりながら、薫の君のことを思い出される。