野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

三日目の夜、匂宮(におうのみや)様は内裏(だいり)から出られずお困りになっている。
すぐに退出して宇治(うじ)へ向かわれるおつもりだったのに、母君(ははぎみ)明石(あかし)中宮(ちゅうぐう)様に引きとめられて、お説教されていらっしゃるの。
「いつまでも独身でおられるせいで、好色(こうしょく)だという(うわさ)が流れているようです。親王(しんのう)としてあってはならないことですよ。あなたはご趣味に夢中になりすぎます。何事(なにごと)もほどほどのところでご満足なさい。それが(とうと)いご身分にふさわしいお振舞いです。(みかど)もご心配なさっているのですよ」

内裏に与えられたお部屋ではなく、ご自宅の二条(にじょう)(いん)でばかりお暮らしなことがそもそもいけないのだとお(しか)りになる。
匂宮様からすれば内裏のお部屋は窮屈(きゅうくつ)で、何より気軽に外出なさりにくい。
あちこちの女性の家に、夜、身分を隠してふらりと出かけていく自由がなくなってしまうの。

今夜は内裏にお泊まりになるようにと中宮様はお命じになった。
ご自分のお部屋で、中君(なかのきみ)にご事情を伝えるお手紙をお書きになる。
あきらめきれないお気持ちでぼんやりなさっていると、(かおる)(きみ)がお越しになった。