<人目につきたくない。暗いうちに都へ戻らなければ>
と、薫の君は匂宮様を急かしてご出発なさった。
仕方なくお帰りになる道のりだから、匂宮様はずいぶん遠いようにお感じになる。
宇治が気軽にご訪問できない場所であることは、以前から歯がゆく思われていた。
まして中君を恋人になさった今は、一晩だって離れていたくないとお苦しみになる。
家来たちがまだ働きはじめる前にお屋敷にお着きになった。
渡り廊下に乗り物を寄せてお降りになる。
ふだん宮様がお使いになるのとはまったく違う、質素な乗り物よ。
女房あたりがお屋敷に戻ってきたような感じでこっそりとお入りになったから、おふたりとも笑ってしまわれる。
「ずいぶんご熱心な宮仕えでございましたね」
薫の君はご冗談をおっしゃった。
お幸せそうな匂宮様が妬ましくて、ご自分の恋がうまくいかなかったことはお話しにならない。
と、薫の君は匂宮様を急かしてご出発なさった。
仕方なくお帰りになる道のりだから、匂宮様はずいぶん遠いようにお感じになる。
宇治が気軽にご訪問できない場所であることは、以前から歯がゆく思われていた。
まして中君を恋人になさった今は、一晩だって離れていたくないとお苦しみになる。
家来たちがまだ働きはじめる前にお屋敷にお着きになった。
渡り廊下に乗り物を寄せてお降りになる。
ふだん宮様がお使いになるのとはまったく違う、質素な乗り物よ。
女房あたりがお屋敷に戻ってきたような感じでこっそりとお入りになったから、おふたりとも笑ってしまわれる。
「ずいぶんご熱心な宮仕えでございましたね」
薫の君はご冗談をおっしゃった。
お幸せそうな匂宮様が妬ましくて、ご自分の恋がうまくいかなかったことはお話しにならない。



