やっと夜が明けていく気配がして、山寺から早朝の鐘が聞こえる。
<匂宮様はまだお目覚めにならないようだ>
薫の君はご寝室の近くへ行って、咳ばらいで合図をなさった。
恋をお叶えになった匂宮様とご自分をお比べになると、ご自分がますます愚かに思われる。
大君のところへ戻っておっしゃった。
「初めてこちらへお越しになった宮様は、たいへんご満足なさったようですね。ご案内をした私の方がかえって納得できない夜になって、すごすごと帰ることになりそうです。これこそ信じられない笑い話の種になりそうだ」
「私はあなた様のせいで自分のことも妹のことも心が重うございます。あなた様は自業自得でいらっしゃいましょう」
大君は小さなお声でお返事なさった。
「そんなことをおっしゃる。あいかわらず私をお憎みなさるのだから苦しい」
などといろいろに恨み言をおっしゃっているうちに、ほのぼのと夜が明けていった。
そこへ匂宮様が昨夜の戸から出ていらっしゃる。
いかにもご機嫌よくゆったりとお動きになるたびに、お着物に濃く焚きしめられた香りが広がる。
老女房たちは、薫の君があちらにもこちらにもおいでになって驚く。
昨夜は薫の君を中君のご寝室にご案内したつもりだったのだもの。
<では、中君と一晩お過ごしになったのは匂宮様でいらっしゃったのか。どういうおつもりか分からないけれど、薫の君にお任せしておけば悪いようにはなさらないだろう>
と心を落ち着かせる。
<匂宮様はまだお目覚めにならないようだ>
薫の君はご寝室の近くへ行って、咳ばらいで合図をなさった。
恋をお叶えになった匂宮様とご自分をお比べになると、ご自分がますます愚かに思われる。
大君のところへ戻っておっしゃった。
「初めてこちらへお越しになった宮様は、たいへんご満足なさったようですね。ご案内をした私の方がかえって納得できない夜になって、すごすごと帰ることになりそうです。これこそ信じられない笑い話の種になりそうだ」
「私はあなた様のせいで自分のことも妹のことも心が重うございます。あなた様は自業自得でいらっしゃいましょう」
大君は小さなお声でお返事なさった。
「そんなことをおっしゃる。あいかわらず私をお憎みなさるのだから苦しい」
などといろいろに恨み言をおっしゃっているうちに、ほのぼのと夜が明けていった。
そこへ匂宮様が昨夜の戸から出ていらっしゃる。
いかにもご機嫌よくゆったりとお動きになるたびに、お着物に濃く焚きしめられた香りが広がる。
老女房たちは、薫の君があちらにもこちらにもおいでになって驚く。
昨夜は薫の君を中君のご寝室にご案内したつもりだったのだもの。
<では、中君と一晩お過ごしになったのは匂宮様でいらっしゃったのか。どういうおつもりか分からないけれど、薫の君にお任せしておけば悪いようにはなさらないだろう>
と心を落ち着かせる。



