匂宮様は山荘に到着なさると、薫の君がお教えした戸のところにお立ちになった。
そこは姫君たちのご寝室へ向かう戸で、弁の君が薫の君をお待ちしている。
宮様が扇を鳴らして合図なさると、すぐに弁の君が現れた。
宮様を薫の君と勘違いしてご寝室へご案内していくの。
<薫の君はいつもこうして案内させているのか。女房がずいぶん物慣れている>
ぞくぞくしながら匂宮様が中君のいらっしゃるご寝室へお入りになったころ、大君はなんとかして薫の君を追い払おうとなさっていた。
お気の毒で、このまま何も知らせず恨みを買うのもよくないと、薫の君は打ち明けなさる。
「実は今、匂宮様もこの山荘にお越しになっているのです。あなた様にご挨拶もなさらず、中君のところへ忍びこまれたようですね。おそらく老女房でも味方におつけになったのでしょう。私の立場がなくなってしまいました。あなた様に振られ、中君も他の男に取られた私を、世間は笑い者にするでしょうね」
思いもよらないことを告げられて大君はめまいがなさる。
「だまし討ちのお手伝いを平気でなさるのですね。あなた様をご信頼して、妹の婿になっていただきたいなどとお願いしていた呑気な私を馬鹿になさっていたのでしょう。それでこんなことをしてやろうと思いつかれたのですね」
言葉にできないほどひどい方だと震えていらっしゃる。
そこは姫君たちのご寝室へ向かう戸で、弁の君が薫の君をお待ちしている。
宮様が扇を鳴らして合図なさると、すぐに弁の君が現れた。
宮様を薫の君と勘違いしてご寝室へご案内していくの。
<薫の君はいつもこうして案内させているのか。女房がずいぶん物慣れている>
ぞくぞくしながら匂宮様が中君のいらっしゃるご寝室へお入りになったころ、大君はなんとかして薫の君を追い払おうとなさっていた。
お気の毒で、このまま何も知らせず恨みを買うのもよくないと、薫の君は打ち明けなさる。
「実は今、匂宮様もこの山荘にお越しになっているのです。あなた様にご挨拶もなさらず、中君のところへ忍びこまれたようですね。おそらく老女房でも味方におつけになったのでしょう。私の立場がなくなってしまいました。あなた様に振られ、中君も他の男に取られた私を、世間は笑い者にするでしょうね」
思いもよらないことを告げられて大君はめまいがなさる。
「だまし討ちのお手伝いを平気でなさるのですね。あなた様をご信頼して、妹の婿になっていただきたいなどとお願いしていた呑気な私を馬鹿になさっていたのでしょう。それでこんなことをしてやろうと思いつかれたのですね」
言葉にできないほどひどい方だと震えていらっしゃる。



