「やはり中君にお心を移してくださったのだ」
大君はうれしくてお会いになった。
ただし、間の戸はしっかりと閉めて、鍵までかけられている。
「一言申し上げておきたいことがございますが、これでは周りの女房に聞こえるほど大きな声を出さなければなりません。少し開けていただけませんか」
と薫の君はお願いなさる。
けれど大君は、
「小さなお声でもよく聞こえております」
とおっしゃってお開けにならない。
<心変わりについて一言言い訳をなさりたいのだろう。これまで親しくお話ししてきたのだから、突然冷たくしては話がこじれるかもしれない。感じよくお話を伺って、早く妹の部屋へ行っていただこう>
大君は妥協して戸の近くまでお寄りになった。
戸の少しの隙間から大君のお袖が見える。
薫の君はそれをつかむと、引き寄せて恨み言をおっしゃる。
<あぁ、また。どうして近づいてしまったのか>
大君は後悔なさる。
<なんとかうまく言いくるめて、お手を離していただかなければ>
とお思いになって、「妹を私と思ってお愛しください」というようなことを遠回しにおっしゃるのが奥ゆかしい。
大君はうれしくてお会いになった。
ただし、間の戸はしっかりと閉めて、鍵までかけられている。
「一言申し上げておきたいことがございますが、これでは周りの女房に聞こえるほど大きな声を出さなければなりません。少し開けていただけませんか」
と薫の君はお願いなさる。
けれど大君は、
「小さなお声でもよく聞こえております」
とおっしゃってお開けにならない。
<心変わりについて一言言い訳をなさりたいのだろう。これまで親しくお話ししてきたのだから、突然冷たくしては話がこじれるかもしれない。感じよくお話を伺って、早く妹の部屋へ行っていただこう>
大君は妥協して戸の近くまでお寄りになった。
戸の少しの隙間から大君のお袖が見える。
薫の君はそれをつかむと、引き寄せて恨み言をおっしゃる。
<あぁ、また。どうして近づいてしまったのか>
大君は後悔なさる。
<なんとかうまく言いくるめて、お手を離していただかなければ>
とお思いになって、「妹を私と思ってお愛しください」というようなことを遠回しにおっしゃるのが奥ゆかしい。



