縁起のよい日を選んで、薫の君はこっそりと匂宮様を宇治へお連れなさった。
宮様の母君である明石の中宮様などがお聞きになったら大変よ。
恋愛のための軽率なお出かけ、しかも都の郊外へ行かれるなんて、絶対にお許しにならない。
薫の君も中宮様を恐れてはいらっしゃるけれど、宮様の強いご希望なので仕方がないわね。
以前に匂宮様が宇治へ行かれたときは、公式のお出かけの帰り道だったから、夕霧大臣様の別荘をご休息所になさった。
でも今回は秘密のお出かけだもの、人目につくところではいけない。
ちょうど薫の君のご領地が近くにあるから、その管理人の家にひとまず宮様をお入れする。
そうしておいて薫の君はおひとりで山荘へ向かわれた。
薫の君がお越しということで、女房たちは色めきだっておもてなしをする。
姫君たちは面倒にお思いになるけれど、
<お手紙でも中君とご結婚いただきたいことを匂わせておいたから、そうしてくださるおつもりかもしれない>
と大君は期待なさる。
一方中君は、
<薫の君がご結婚なさりたいのは私ではなく姉君のようだ。私に何かをなさることはないだろう>
と思いながらも、前回のことに懲りて、これまでのように姉君をご信頼なさっていない。
薫の君は女房を通して無難なご挨拶をあれこれおっしゃる。
お考えが見えなくて、
<いったいどういうおつもりなのだろう>
と女房たちは困惑している。
宮様の母君である明石の中宮様などがお聞きになったら大変よ。
恋愛のための軽率なお出かけ、しかも都の郊外へ行かれるなんて、絶対にお許しにならない。
薫の君も中宮様を恐れてはいらっしゃるけれど、宮様の強いご希望なので仕方がないわね。
以前に匂宮様が宇治へ行かれたときは、公式のお出かけの帰り道だったから、夕霧大臣様の別荘をご休息所になさった。
でも今回は秘密のお出かけだもの、人目につくところではいけない。
ちょうど薫の君のご領地が近くにあるから、その管理人の家にひとまず宮様をお入れする。
そうしておいて薫の君はおひとりで山荘へ向かわれた。
薫の君がお越しということで、女房たちは色めきだっておもてなしをする。
姫君たちは面倒にお思いになるけれど、
<お手紙でも中君とご結婚いただきたいことを匂わせておいたから、そうしてくださるおつもりかもしれない>
と大君は期待なさる。
一方中君は、
<薫の君がご結婚なさりたいのは私ではなく姉君のようだ。私に何かをなさることはないだろう>
と思いながらも、前回のことに懲りて、これまでのように姉君をご信頼なさっていない。
薫の君は女房を通して無難なご挨拶をあれこれおっしゃる。
お考えが見えなくて、
<いったいどういうおつもりなのだろう>
と女房たちは困惑している。



