野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

夜明け前の一度暗くなるころ、(きり)が出て空気が冷たくなった。
月は隠れてお庭の木々の下が暗くなる。
しっとりとした宇治(うじ)の景色を思い出されたのか、匂宮(におうのみや)様がおっしゃった。
「近いうちに私も宇治へ連れていっておくれ」
(かおる)(きみ)がすぐに承知なさらないので、
「ご姉妹どちらも独り占めするつもりか」
とおからかいになる。

「真剣な人にしかふさわしくないご姉妹ですので」
意地悪でお返しになる薫の君に、
「うるさい仲介(ちゅうかい)役だな」
と匂宮様はすねたようにおっしゃった。