野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

(かおる)(きみ)姫君(ひめぎみ)たちにお見舞いをおっしゃったあと、ご法要(ほうよう)のために必要な書類をお書きになる。
すると、ついたての隙間(すきま)から、総角(あげまき)の形の(ひも)(かざ)りがちらりと見えた。
「それはたしか、糸をより合わせて(ひも)にしたものを、しっかりと結んで作るのでしたね。私もあなた様と寄りそいあって、(すえ)(なが)い夫婦の関係を結びたいのですが」
書類のついでにそんなことを紙に書くと、大君(おおいぎみ)にお渡しになった。

<また面倒なことをおっしゃる>
と大君は思われたけれど、お返事をお書きになる。
「今にも死んでしまいそうな私でございますから、末永いお約束などどうしてできましょうか」
冷たいお返事をご覧になって、
<私こそ、この人を妻にできなければ死んでしまいそうなのに>
と薫の君は(うら)めしそうになさっていたわ。