野いちご源氏物語 四七 総角(あげまき)

長いはずの秋の夜だけれど、お美しい中君(なかのきみ)とお話しになっていると、あっという間に明けてしまったように(かおる)(きみ)はお感じになる。
大君(おおいぎみ)()けず(おと)らず上品な姫君(ひめぎみ)でいらっしゃるから、
<なぜ手を出さなかったのだろう>
と残念なような気もなさる。

「これで私の人柄(ひとがら)はよくお分かりになったでしょう。私があなたを大切に思うように、あなたも私を信頼なさってください。姉君(あねぎみ)はとんでもなくご冷淡(れいたん)な方だけれど、あなたは見習ってはいけませんよ」
と、次回があるようなことを(にお)わせてご寝室からお出になった。
ふらふらと客席にお戻りになって、横におなりになる。
<まるで(きつね)にだまされた夢のようだ。いったい私はどうすればよかったのか。いや、これでよかったのだ。もう一度大君にお会いして、ご本心を確かめよう>